こてつエンジン - 個人イラストレーター「山中虎鉄(コテツ)」のイラスト紹介ページ

2010年02月06日

このマンガがすごい!2009のおはなし

わたくしのような飛沫絵描きに何故お声がかかるのだろうと毎回首をかしげながら
書かせて頂いております、宝島社様の「このマンガがすごい!」シリーズですが、
昨年末に出た2009年度版に関してのお話です。
というか山中の壮絶なミスをここに懺悔いたします。凄い今更ですみません。

『印刷バージョン』

ギャーーーッッ!!違うんですッ!!三位じゃなくてみんな一位なんですッTT
どれも好きすぎて順位を付けられない~;;と編集さんに言った所、山中の提出した文章が
へんてこだったのと説明がたどたどしかったせいで、同列三位に・・・

うおおッ・・・焼き土下座級の失態・・・ッ
作家様、宝島社様、山中の言語野がアレなせいですみません・・・;;

『正』

もう、全部布教級に好きです。愛してます。これ読んでないと人生ソンです。

■ドロヘドロ:林田球氏
魔法使いVS魔法使い狩りの、血みどろの物語が
強烈な世界観と粋な登場人物達で描かれる漫画です。
叩き付ける暴力と、画面作りの物凄い格好良さに、ページをめくる度に総毛立ちます。
こわいのです。闇が、闇にうつろう何かが、ずちゃりと湿った足音で近づく悪意、
それが立てる息遣いが聞こえてしまうような空気をまとった絵なのです。

3巻の、二階堂が悪魔アスを訪ね、その掌にくちづけをするシーンの空気の濃密さ!!
自分の肺腑に異界の風が吹き込まれるようでした。
氏のデビュー作のソファの精の漫画は当時ドキっとして切り抜き、未だに持っております。

■トリコ:島袋光年氏
命を狩り、メシを食らう!!生命力溢れるたくましい色男がもりもり旨い物を食い尽くす様が
心底気持ちいいバトル漫画です。
食うと言うことは生きること、生きると言うことは他の命を食らうこと。
それをオブラートに包まずにまっつぐ、そのこぶしで殴りつけるかのように明言してるのがいい。

子供の頃、漫画やアニメ・絵本を見て、美味しそうだな、食べてみたいなあ!と思った色んなたべもの。
マンガ肉や風呂吹き大根、でっかいパンケーキにジュースの池、ゼリーで出来た山。
物凄いワクワクして、見る度に大興奮しいてたな、というのをまざまざと思い出しました。

トリコだけでなく、同行する小松シェフも非常に魅力的。
ちんまくて強くもなんとも無い普通の人ですが、自分のシェフという仕事に大変な誇りを抱き、
ボスクラスに恫喝されても大切な包丁を手放さないガッツのある男。
もー良い男ばっかし。毎週楽しみで仕方が無いです。

■シスタージェネレーター:沙村弘明氏
これまたどの短編も素敵なのですが、
冒頭の「久誓院家最大のショウ」泣きました。もう、あまりに美しい話でボロ泣き。
押し殺したエロス、くすぐられるような笑い。静かな描写で語られる登場人物達の
心の奥に秘められた情念。
きっと読む時の年齢とともに感想が変わるのだろうな、と思いました。
山中は饐えた中年なのでごっくごく行けました。美酒。そして号泣。

「エメラルド」いのちが紙くずより軽く、死と生の二択しかない残忍な荒野。
銃と暴力に知恵で立ち向かうか弱き少女と、
敵か味方か、謎の女・妖艶なブラックローズのおはなし。
礫漠を吹き抜ける風が、ごうっと髪をゆらすような読後感。
爽やかで嬉しくてニヤニヤしてしまう。

■無限の住人25巻:沙村弘明氏
最悪の因縁である尸良の、壮絶な終焉を描いた巻です。
不死の肉同士の斬り合い。叩き斬り、殴りつけ、えぐり。
もはやそれは仕合ですらない、ころしあい。
それを唖然と見つめる目黒と凶戴斗の、彼らなりの義を通しぬく血潮の熱さに痺れました。

あと練造のやるせなさ…胸が詰まるほどのやりきれなさ。
いっそ盲目的に憎むことも糾弾することも、
尸良とたんぽぽの言葉が腑に落ちてしまったゆえに出来なくなった二人めの凛。

サブキャラ達の存在が、物凄く大きかったなあと思う巻でした。
最後のシュチュエーション通り、凍えきった手指を暖めてくれるような。
ホントなら敵同士なのに、そのぬくもりにほうっとしちゃってうろたえてしまいます。
くのいち二人のキャラが良すぎ。

■シグルイ13巻:南條範夫氏・山口貴由氏
もうテンションがギンギンです。青筋立ちまくりの脳汁吹き出まくりです。
前巻までの展開で、あれほど狂って見えたキャラが徳川忠長の御前では
子犬も同然という、パワーのインフレがそのまま恐怖に直結します。

かと言って皆の強さや尋常無き緊張が緩んだかと言えばさにあらず、
よりタイトに高熱を発し、ぎちぎちと締め上げる万力の、あるいは地獄装置の
歯車のような容赦の無さで、のっぴきならない一点を目指して
其々の運命が転がっていきます。狂気の地獄特急はただただ加速していきます。

改めて一巻から読み返したのですが、
藤木源之助と岩本三重のほほが血色良くふっくらとしていたのが
もう不憫でボロ泣きしてしまいました。

不快な金属音が響くような狂気の合間に、例えば幼き日の藤木といくのエピソードのような、
そっと、やわいぬくもりを感じる描写を挟まれるのですが、そのコントラストがもう
人の苦悩をさらに残忍な形にいこらせ、より奇ッ怪醜悪に、凄絶な美をもってそそり立たせて
いるように感じます。


ね~~~~~!!もう順位なんかつけられないです。
漫画大好き。何て素敵な文化なんだろう。

山中のおかしな順位付けに、
不快に感じられた方がおられたら本当に申し訳ありませんでした。